検察 ob 意見 書。 【検察OB意見書全文】安倍首相は「朕は国家」のルイ14世を彷彿

注目裁判・話題の会見:首相の姿勢によぎる「朕は国家」の言葉 検察OB、危機感込めた意見書全文

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検察庁法改正案に反対する意見書を提出後、記者会見する清水勇男・元最高検検事(手前)。 奥は松尾邦弘・元検事総長=東京都千代田区で2020年5月15日午後3時33分、宮間俊樹撮影 松尾邦弘元検事総長(77)ら検察OBが15日、検事総長や検事長らの定年延長を可能にする検察庁法改正案に反対する意見書を法務省に提出した。 「検察の人事に政治権力が介入することを正当化する」と批判し、検察幹部の定年延長規定を撤回するよう求めた。 元検察トップが政府提出法案への反対を公言するのは極めて異例。 松尾氏は意見書を提出後、東京都内で記者会見し、「検察庁のあるべき姿に重大な影響を与える懸念がある」と述べた。 意見書は次の通り。 1 東京高検検事長黒川弘務氏は、本年2月8日に定年の63歳に達し退官の予定であったが、直前の1月31日、その定年を8月7日まで半年間延長する閣議決定が行われ、同氏は定年を過ぎて今なお現職に止まっている。 検察庁法によれば、定年は検事総長が65歳、その他の検察官は63歳とされており(同法22条)、定年延長を可能とする規定はない。 従って検察官の定年を延長するためには検察庁法を改正するしかない。 しかるに内閣は同法改正の手続きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。 これは内閣が現検事総長稲田伸夫氏の後任として黒川氏を予定しており、そのために稲田氏を遅くとも総長の通例の在職期間である2年が終了する8月初旬までに勇退させてその後任に黒川氏を充てるための措置だというのがもっぱらの観測である。 一説によると、本年4月20日に京都で開催される予定であった第4回国連犯罪防止刑事司法会議で開催国を代表して稲田氏が開会の演説を行うことを花道として稲田氏が勇退し黒川氏が引き継ぐという筋書きであったが、新型コロナウイルスの流行を理由に会議が中止されたためにこの筋書きは消えたとも言われている。 いずれにせよ、この閣議決定による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任には法的根拠はない。 この点については、日弁連会長以下全国35を超える弁護士会の会長が反対声明を出したが、内閣はこの閣議決定を撤回せず、黒川氏の定年を超えての留任という異常な状態が現在も続いている。 2 一般の国家公務員については、一定の要件の下に定年延長が認められており(国家公務員法81条の3)、内閣はこれを根拠に黒川氏の定年延長を閣議決定したものであるが、検察庁法は国家公務員に対する通則である国家公務員法に対して特別法の関係にある。 従って「特別法は一般法に優先する」との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される。 定年に関しては検察庁法に規定があるので、国家公務員法の定年関係規定は検察官には適用されない。 これは従来の政府の見解でもあった。 例えば昭和56年(1981年)4月28日、衆議院内閣委員会において所管の人事院事務総局斧任用局長は、「検察官には国家公務員法の定年延長規定は適用されない」旨明言しており、これに反する運用はこれまで1回も行われて来なかった。 すなわちこの解釈と運用が国法上定着している。 検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。 捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。 捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。 時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。 検察官の責務は極めて重大であり、検察官は自ら捜査によって収集した証拠等の資料に基づいて起訴すべき事件か否かを判定する役割を担っている。 その意味で検察官は準司法官とも言われ、司法の前衛たる役割を担っていると言える。 こうした検察官の責任の特殊性、重大性から一般の国家公務員を対象とした国家公務員法とは別に検察庁法という特別法を制定し、例えば検察官は検察官適格審査会によらなければその意に反して罷免されない(検察庁法23条)などの身分保障規定を設けている。 検察官も一般の国家公務員であるから同法が適用されるというような皮相的な解釈は成り立たないのである。 3 本年2月13日衆議院本会議で、安倍晋三総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。 これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。 時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「政治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。 心すべき言葉である。 ところで仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性またはその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。 これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場….

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検察は「厳正公平」という幻想 民意とOB意見書の隠れた乖離 検察庁法改正問題(上)(47NEWS)

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2020年5月17日 日 検察庁法改定案反対 検察OBの意見書(全文) 松尾邦弘・元検事総長らが検察庁法改定案に反対して15日に発表した検察OB14人連名の意見書の全文は以下の通り。 1 東京高検検事長黒川弘務氏は、本年2月8日に定年の63歳に達し退官の予定であったが、直前の1月31日、その定年を8月7日まで半年間延長する閣議決定が行われ、同氏は定年を過ぎて今なお現職に止(とど)まっている。 検察庁法によれば、定年は検事総長が65歳、その他の検察官は63歳とされており(同法22条)、定年延長を可能とする規定はない。 従って検察官の定年を延長するためには検察庁法を改正するしかない。 しかるに内閣は同法改正の手続きを経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。 これは内閣が現検事総長稲田伸夫氏の後任として黒川氏を予定しており、そのために稲田氏を遅くとも総長の通例の在職期間である2年が終了する8月初旬までに勇退させてその後任に黒川氏を充てるための措置だというのがもっぱらの観測である。 一説によると、本年4月20日に京都で開催される予定であった第4回国連犯罪防止刑事司法会議で開催国を代表して稲田氏が開会の演説を行うことを花道として稲田氏が勇退し黒川氏が引き継ぐという筋書きであったが、新型コロナウイルスの流行を理由に会議が中止されたためにこの筋書きは消えたとも言われている。 いずれにせよ、この閣議決定による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任には法的根拠はない。 この点については、日弁連会長以下全国35を超える弁護士会の会長が反対声明を出したが、内閣はこの閣議決定を撤回せず、黒川氏の定年を超えての留任という異常な状態が現在も続いている。 2 一般の国家公務員については、一定の要件の下に定年延長が認められており(国家公務員法81条の3)、内閣はこれを根拠に黒川氏の定年延長を閣議決定したものであるが、検察庁法は国家公務員に対する通則である国家公務員法に対して特別法の関係にある。 従って「特別法は一般法に優先する」との法理に従い、検察庁法に規定がないものについては通則としての国家公務員法が適用されるが、検察庁法に規定があるものについては同法が優先適用される。 定年に関しては検察庁法に規定があるので、国家公務員法の定年関係規定は検察官には適用されない。 これは従来の政府の見解でもあった。 例えば昭和56年(1981年)4月28日、衆議院内閣委員会において所管の人事院事務総局斧任用局長は、「検察官には国家公務員法の定年延長規定は適用されない」旨明言しており、これに反する運用はこれまで一回も行われて来なかった。 すなわちこの解釈と運用が国法上定着している。 検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。 捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。 捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。 時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。 検察官の責務は極めて重大であり、検察官は自ら捜査によって収集した証拠等の資料に基づいて起訴すべき事件か否かを判定する役割を担っている。 その意味で検察官は準司法官とも言われ、司法の前衛たる役割を担っていると言える。 こうした検察官の責任の特殊性、重大性から一般の国家公務員を対象とした国家公務員法とは別に検察庁法という特別法を制定し、例えば検察官は検察官適格審査会によらなければその意に反して罷免されない(検察庁法23条)などの身分保障規定を設けている。 検察官も一般の国家公務員であるから同法が適用されるというような皮相的な解釈は成り立たないのである。 3 本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。 これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。 時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著『統治二論』(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。 心すべき言葉である。 ところで仮に安倍総理の解釈のように国家公務員法による定年延長規定が検察官にも適用されると解釈しても、同法81条の3に規定する「その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分の理由があるとき」という定年延長の要件に該当しないことは明らかである。 これは要するに、余人をもって代えがたいということであって、現在であれば新型コロナウイルスの流行を収束させるために必死に調査研究を続けている専門家チームのリーダーで後継者がすぐには見付からないというような場合が想定される。 現在、検察には黒川氏でなければ対応できないというほどの事案が係属しているのかどうか。 引き合いに出されるゴーン被告逃亡事件についても黒川氏でなければ、言い替えれば後任の検事長では解決できないという特別な理由があるのであろうか。 法律によって厳然と決められている役職定年を延長してまで検事長に留任させるべき法律上の要件に合致する理由は認め難い。 4 4月16日、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる国家公務員法改正案と抱き合わせる形で検察官の定年も63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案が衆議院本会議で審議入りした。 翌17日、野党側が前記閣議決定の撤回を求めたのに対し菅義偉官房長官は必要なしと突っぱねて既に閣議決定した黒川氏の定年延長を維持する方針を示した。 こうして同氏の定年延長問題の決着が着かないまま検察庁法改正案の審議が開始されたのである。 この改正案中重要な問題点は、検事長を含む上級検察官の役職定年延長に関する改正についてである。 すなわち同改正案22条 5 項には「内閣は(中略)年齢が63年に達した次長検事又は検事長について、当該次長検事又は検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該次長検事又は検事長を検事に任命することにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、当該次長検事又は検事長が年齢63年に達した日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事又は検事長が年齢63年に達した日において占めていた官及び職を占めたまま勤務をさせることができる(後略)」と記載されている。 難解な条文であるが、要するに次長検事および検事長は63歳の職務定年に達しても内閣が必要と認める一定の理由があれば1年以内の範囲で定年延長ができるということである。 注意すべきは、この規定は内閣の裁量で次長検事及び検事長の定年延長が可能とする内容であり、前記の閣僚会議によって黒川検事長の定年延長を決定した違法な決議を後追いで容認しようとするものである。 これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないという確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。 これは「検察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている(元検事総長伊藤榮樹著『だまされる検事』)。 検察庁法は、組織の長に事故があるとき又は欠けたときに備えて臨時職務代行の制度(同法13条)を設けており、定年延長によって対応することは毫(ごう)も想定していなかったし、これからも同様であろうと思われる。 今回の法改正は、検察の人事に政治権力が介入することを正当化し、政権の意に沿わない検察の動きを封じ込め、検察の力を殺(そ)ぐことを意図していると考えられる。 5 かつてロッキード世代と呼ばれる世代があったように思われる。 ロッキード事件の捜査、公判に関与した検察官や検察事務官ばかりでなく、捜査、公判の推移に一喜一憂しつつ見守っていた多くの関係者、広くは国民大多数であった。 振り返ると、昭和51年(1976年)2月5日、某紙夕刊1面トップに「ロッキード社がワイロ商法 エアバスにからみ48億円 児玉誉士夫氏に21億円 日本政府にも流れる」との記事が掲載され、翌日から新聞もテレビもロッキード関連の報道一色に塗りつぶされて日本列島は興奮の渦に巻き込まれた。 当時特捜部にいた若手検事の間では、この降って湧いたような事件に対して、特捜部として必ず捜査に着手するという積極派や、着手すると言っても贈賄の被疑者は国外在往のロッキード社の幹部が中心だし、証拠もほとんど海外にある、いくら特捜部でも手が届かないではないかという懐疑派、苦労して捜査しても造船疑獄事件のように指揮権発動でおしまいだという悲観派が入り乱れていた。 事件の第一報が掲載されてから13日目の2月18日検察首脳会議が開かれ、席上、東京高検検事長の神谷尚男氏が「いまこの事件の疑惑解明に着手しなければ検察は今後20年間国民の信頼を失う」と発言したことが報道されるやロッキード世代は歓喜した。 後日談だが事件終了後しばらくして若手検事何名かで神谷氏のご自宅にお邪魔したときにこの発言をされた時の神谷氏の心境を聞いた。 「(八方塞〈ふさ〉がりの中で)進むも地獄、退くも地獄なら、進むしかないではないか」という答えであった。 この神谷検事長の国民信頼発言でロッキード事件の方針が決定し、あとは田中角栄氏ら政財界の大物逮捕に至るご存じの展開となった。 時の検事総長は布施健氏、法務大臣は稲葉修氏、法務事務次官は盬野宜慶氏(後に最高裁判事)、内閣総理大臣は三木武夫氏であった。 特捜部が造船疑獄事件の時のように指揮権発動に怯(おび)えることなくのびのびと事件の解明に全力を傾注できたのは検察上層部の不退転の姿勢、それに国民の熱い支持と、捜査への政治的介入に抑制的な政治家たちの存在であった。 国会で捜査の進展状況や疑惑を持たれている政治家の名前を明らかにせよと迫る国会議員に対して捜査の秘密を楯(たて)に断固拒否し続けた安原美穂刑事局長の姿が思い出される。 しかし検察の歴史には、捜査幹部が押収資料を改ざんするという天を仰ぎたくなるような恥ずべき事件もあった。 後輩たちがこの事件がトラウマとなって弱体化し、きちんと育っていないのではないかという思いもある。 それが今回のように政治権力につけ込まれる隙を与えてしまったのではないかとの懸念もある。 検察は強い権力を持つ組織としてあくまで謙虚でなくてはならない。 しかしながら、検察が萎縮して人事権まで政権側に握られ、起訴・不起訴の決定など公訴権の行使にまで掣肘(せいちゅう)を受けるようになったら検察は国民の信託に応えられない。 正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。 黒川検事長の定年延長閣議決定、今回の検察庁法改正案提出と続く一連の動きは、検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きであり、ロッキード世代として看過し得ないものである。 関係者がこの検察庁法改正の問題を賢察され、内閣が潔くこの改正法案中、検察幹部の定年延長を認める規定は撤回することを期待し、あくまで維持するというのであれば、与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない。 [追記]この意見書は、本来は広く心ある元検察官多数に呼びかけて協議を重ねてまとめ上げるべきところ、既に問題の検察庁法一部改正法案が国会に提出され審議が開始されるという差し迫った状況下にあり、意見のとりまとめに当たる私(清水勇男)は既に85歳の高齢に加えて疾病により身体の自由を大きく失っている事情にあることから思うに任せず、やむなくごく少数の親しい先輩知友にのみ呼びかけて起案したものであり、更に広く呼びかければ賛同者も多く参集し連名者も多岐に上るものと確実に予想されるので、残念の極みであるが、上記のような事情を了とせられ、意のあるところを何卒(なにとぞ)お酌(く)み取り頂きたい。 以上 令和2年5月15日 元仙台高等検察庁検事長 平田胤明 元法務省官房長 堀田力 元東京高等検察庁検事長 村山弘義 元大阪高等検察庁検事長 杉原弘泰 元最高検察庁検事 土屋守 元同 清水勇男 元同 久保裕 元同 五十嵐紀男 元検事総長 松尾邦弘 元最高検察庁公判部長 本江威憙 元最高検察庁検事 町田幸雄 元同 池田茂穂 元同 加藤康榮 元同 吉田博視 (任官期別順) (本意見書とりまとめ担当・文責) 清水勇男 法務大臣 森 雅子 殿.

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特捜検事OB38人再考求め意見書「将来に禍根を残しかねない改正」 : 国内 : ニュース : 読売新聞オンライン

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独立検察官などの制度がない我が国において、準司法機関である検察がよく機能するためには、民主的統制の下で独立性・政治的中立性を確保し、厳正公平・不偏不党の検察権行使によって、国民の信頼を維持することが極めて重要です。 検察官は、内閣または法務大臣により任命されますが、任命に当たって検察の意見を尊重する人事慣行と任命後の法的な身分保障により、これまで長年にわたって民主的統制の下で、その独立性・政治的中立性が確保されてきました。 国民や政治からのご批判に対して謙虚に耳を傾けることは当然ですが、厳正公平・不偏不党の検察権行使に対しては、これまで皆様方からご理解とご支持をいただいてきたものと受けとめています。 ところが、現在国会で審議中の検察庁法改正案のうち、幹部検察官の定年および役職定年の延長規定は、これまで任命時に限られていた政治の関与を任期終了時にまで拡大するものです。 その程度も、検事総長を例にとると、1年以内のサイクルで定年延長の要否を判断し、最長3年までの延長を可能とするもので、通例2年程度の任期が5年程度になり得る大幅な制度変更といえます。 これは、民主的統制と検察の独立性・政治的中立性確保のバランスを大きく変動させかねないものであり、検察権行使に政治的な影響が及ぶことが強く懸念されます。 もっとも、検察官にも定年延長に関する国家公務員法の現行規定が適用されるとの政府の新解釈によれば、検察庁法改正を待たずにそのような問題が生ずることになりますが、この解釈の正当性には議論があります。 検察庁法の改正に当たっては、慎重かつ十分な吟味が不可欠であり、再考していただきたく存じます。 そもそも、これまで多種多様な事件処理などの過程で、幹部検察官の定年延長の具体的必要性が顕在化した例は一度もありません。 先週の衆院内閣委員会でのご審議も含め、これまで国会でも具体的な法改正の必要性は明らかにされていません。 今、これを性急に法制化する必要は全く見当たらず、今回の法改正は、失礼ながら、不要不急のものと言わざるを得ないのではないでしょうか。 法制化は、何とぞ考え直していただきたく存じます。 さらに、先般の東京高検検事長の定年延長によって、幹部検察官任命に当たり、政府が検察の意向を尊重してきた人事慣行が今後どうなっていくのか、検察現場に無用な萎縮を招き、検察権行使に政治的影響が及ぶのではないかなど、検察の独立性・政治的中立性に係る国民の疑念が高まっています。 このような中、今回の法改正を急ぐことは、検察に対する国民の信頼をも損ないかねないと案じています。 検察は、現場を中心とする組織であり、法と証拠に基づき堅実に職務を遂行する有為の人材に支えられています。 万一、幹部検察官人事に政治的関与が強まったとしても、少々のことで検察権行使に大きく影響することはないと、私たちは後輩を信じています。 しかしながら、事柄の重要性に思いをいたすとき、将来に禍根を残しかねない今回の改正を看過できないと考え、私たち有志は、あえて声を上げることとしました。 私たちの心中を何とぞご理解いただければ幸甚です。 縷々(るる)申し述べましたように、このたびの検察庁法改正案は、その内容においても審議のタイミングにおいても、検察の独立性・政治的中立性と検察に対する国民の信頼を損ないかねないものです。 法務大臣はじめ関係諸賢におかれては、私たちの意見をお聴きとどけいただき、周辺諸状況が沈静化し落ち着いた環境の下、国民主権に基づく民主的統制と検察の独立性・政治的中立性確保との適切な均衡という視座から、改めて吟味、再考いただくことを切に要望いたします。 元・特捜検事有志.

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